星空つづり

星空・天体写真などの記録を綴るブログ

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2009.08.29 Saturday

一枚ダークを使ってコンポジットの効果を検証

最近、ダークファイルって引いてます?とか、コンポジットしたダークを作ってます?などと、たまたまなのか、なにか知らないブーム?なのか、複数の異なるグループの方に立て続けに尋ねられました。

私が最近冷却仕様のデジタル一眼カメラを使い出したからかも知れませんね。確かに、ダークを引くより引かない方が滑らかだったという説や話も聞きはしますが、それは品質の悪い?一枚ダークだからなのか、それともそれ以外の何かが働くからなのか・・・とにかく分からないときは実験してみるということで、やってみました。

あまり自分ではダークフレームに気を払っていないこともあり、1枚ダークで複数のライトフレームの処理をほとんどの場合やっていたのですが、実際どうなのでしょうね。
もとより、複数枚のダークを現場撮影して後からコンポジットして適用するなんてことは時間的にも厳しいですし、現実的にはおそらく今後もやらないような気がします。

ダーク減算処理は、今では少なくなった赤(熱)かぶりや、センサー自身の横縞なノイズ、さらにはランダムに発生するノイズを除去するために行い、画像のS/N比を向上させ、後処理への耐性を高めることで、仕上がり画像の滑らかさなどを得るために必要不可欠な処理として一般的に知られています。
面倒くさがり屋の私は、ダークフレームを数多く撮影し、ダークフレーム自体をコンポジットすることにより高品質なダークフレームを都度作成するなんてことは、今のところようやりません。

それ以前に、私の場合は未だにライトフレームのソースに良い物が得られないという理由もありますが(^^;

そもそもCMOSのノイズって、経年劣化というか、使い込んでいるとその状態が徐々に悪くなることも知られていますので、ステライメージに用意されている便利なダークライブラリっていうような機能も、果たしてどこまで有効なのかも分からず使わないままでいます。
フレームごとにランダムに発生するノイズを持つライトフレームに対し、数枚そこらを重ねて平均化した良質?なダークフレームのノイズで減算するということにどれほど理屈が通る話なのかもそもそも疑問に思います。
とはいえ、それを否定するつもり全くなく、私が天体写真の処理を本格的に始めた頃に読んだ「冷却CCDカメラによる天体撮影テクニック(誠文堂新光社)」にも同様なことはかかれていますので、おそらくそこには理屈も効果もあるのだと思っています。

さて、とりあえず良質なダークを作成する作業は面倒であることは事実で、では、ダークフレームを極力使わずにコンポジットする際の手法で少しでも効果が上げられないか・・・まず今回はそれを少し実験してみました。
以下のパターンは、比較用にパターン化しています。(D)が通常私が行っている手法です。人工衛星や飛行機の軌跡が写り込んだようなような画像を使わざるを得ない場合は、(F)もたまには行います。
私の予想では、(F)も(D)ほどではないにしても案外ランダムノイズの除去には有効な手段なのではないかと思っています。なんとなくですが、3つの画像の同じ位置のピクセルの中間明度のピクセルのみを採用するというメジアンコンポジットの仕組みからして、明るいノイズや暗いノイズがコンポジットの手法で除去できることからして、単なる平均を取るコンポジットよりもランダムノイズ除去の効果があるのかもしれないと思っています。
では、実際の実験結果ではどうなることでしょう。
テストパターンは他にも様々考えられるし、検証方法の途中でレベルの自動調整(ベイヤー読み込み&ダーク減算後のRGB変換時)を入れてしまっていたので、ちょっと比較ネタとしては完全ではないが、ご勘弁を。

<テスト画像のパターン>
(A)1枚画像でダーク減算していない画像
(B)1枚画像でダークフレームも1枚を使ってダーク減算した画像
(C)ダーク減算せずに、6枚を加算平均で(バッチ)コンポジットした画像
(D)1枚のダークフレームのみを使って全てのライトフレームを減算後、6枚とも加算平均で(バッチ)コンポジットした画像
(E)ダーク減算せずに、6枚のうち3枚ずつをまずメジアン(中央値)コンポジットし、できあがった2枚を加算平均でコンポジットした画像
(F)1枚のダークフレームのみを使って6枚全てのライトフレームを減算後、(E)の手法でメジアン合成後、加算平均した画像
(G)ダーク減算せずに、6枚のライトフレームを比較暗合成した画像
(H)1枚のダークフレームのみを使って6枚全てのライトフレームを減算後、(G)の手法で比較暗合成した画像

使用ソフトにはステライメージ6を使用しました。JPEG化より後の処理にはGIMPを使用。

<検証用処理の流れ>
1)RAWファイルをまず、ベイヤー配列で読み込む。(B)(D)ではここでダーク減算しつつ読み込み
2)画素単位に発生するダーク/ホットピクセルの除去処理を行う
3)各フレームに対し、ベイヤー配列からRGB変換を行いカラー化
4)(C)(D)では、加算平均でバッチコンポジット、(E)ではパターンに示したとおり3回に分けてコンポジット
5)レベル調整でレベルを切り詰めて天体を引き出す ※ここでは比較検証のためコンポジットしてできたライトフレームが2048階調となるよう一律にハイライト側から切り詰めのみ行い、デジタル現像処理などは行っていません。
6)JPEG(256階調)化
7)モノクロ化 ※処理によるホワイトバランスの違いを飛ばすため)
8)同じエリアを切り抜き
9)レベルをダーク側から50階調、ハイライト側から56階調を切り詰める
10)画像を150%拡大

さて、各パターンの画像を並べます。

(A)ダーク減算なしの1枚画像


(B)1枚ダーク&1枚のライトフレーム画像


(C)ダーク減算なしで6枚を加算平均


(D)1枚ダークで6枚を加算平均


(E)ダーク減算なしで6枚のうち3枚セットでメジアンコンポジットし、できあがった2枚を加算平均


(F)1枚ダークで6枚処理後(E)の手法で処理


(G)ダークなし&6枚を比較暗合成


(H)1枚ダーク&6枚を比較暗合成


どうでしょう。まず分かりやすいのは、1枚ものよりはとりあえずコンポジットした方が有利という点です。

ダークなしで6枚コンポジットしている(C)が、一枚ダークを使って6枚コンポジットした(D)より良いかどうかですが、明らかに淡い天体のコントラストが異なります。(D)の方がコントラスト的には上ですね。しかし、よく見ると、滑らかさ(ザラついた感じのなさ)は(C)の方が良いですね。これは難しい(^^;
どちらをとりましょうか・・・明暗か滑らかさか。

(D)と(F)ですが、バックグラウンドのノイズの状態は若干(D)がよく、さらに淡い部分の出方が(D)の方が良い感じがします。

(G)(H)の比較暗合成は、バックグラウンドのノイズはそれなりに落ちているようですが、天体のコントラストが悪くなり、あまり使えそうになりですね。
それにしても、星像が他よりダントツに締まってますね。ガイドズレが有るような画像を含んでいる場合には使えるかも・・・

う〜ん、とりあえずこれまで同様、1枚ダークを持っているなら(D)で処理するのが無難かも知れません。露出がしっかり稼げていればダークを引かない(C)もよい気がします。

ご覧になった方は、ご自身で評価を下してみて下さい。私には・・・正直、どれが一番かは判断できかねます。
もしかしたら、ナチュラルな感じの(C)かもしれませんが、ソースの状態によっては(D)かもしれません。

番外編として、(C)と(D)というか、ダークを引いたものと引かない画像とで、共通して言えたことがある。処理の途中でRGBカラー変換をかけた後の色合いが断然(D)のダークを引いた方がよいのです。
色調はあとでどのみち補正できますが、カラー化した状態で色合いが整っているのはダークを引いた時の特徴として、気持ちよい状態で現れていました。

ちなみに、その途中ファイルの切り出しを貼っておきます。

(C)ダークを引いていない画像のカラー化後


(D)ダークを引いた画像のカラー化後


最後に、上記(C)(D)画像の色調をほぼ同一にした画像をそれぞれ貼っておきます。それぞれの状態をカラーで確認してみて下さい。モノクロで感じた違いが以外とわかりません。

(C)の色調補正後画像


(D)の色調補正後画像


さて、今回は1枚ダークでどうするか?をテーマにやりましたが、次回機会を見て、品質の良いダークフレームの効果を検証してみたいですね。

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