星空つづり

星空・天体写真などの記録を綴るブログ

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2009.02.17 Tuesday

テレトラック経緯台

ジェニスター66mmをお気軽観望用として使うために、これまではミザールの電動経緯台に乗せていた。この経緯台は電動で方向を変えられるという機能のみで追尾機能などは一切なかった。
追尾機能くらいは欲しいな〜と思っていた矢先、最近になって天文誌などで紹介されているスカイバードの自動追尾経緯台AT-MACSが目にとまった。
買おうかどうしようかと考えているうちに、テレビュー・ジャパンを運営している(株)ジズコより、米オライオンブランドでさらに強力なテレトラック経緯台なる自動追尾経緯台が出ていた。

詳しい情報を聞くため、年明け早々にジズコさんとコンタクトを取り、AT-MACSと比較検討した結果、テレトラック経緯台を注文した。広告は早めに出されていたようだが、実際の商品が国内には来ていないのと日本語マニュアルを作成中とのことで、2月上旬の納期となった。



AT-MACSとテレトラック経緯台との比較検討にあたり、特徴的なそれぞれの長所・短所だけをまずは紹介する。

<AT-MACSの方が勝っている項目>
▼耐荷重
AT-MACS:5kg
Teletrack:4kg
▼積載鏡筒
AT-MACS:長物積載可
Teletrack:380mm以内推奨(実際には長物も積載は可能)
▼可視高度
AT-MACS:アーム斜め出しのため天頂付近まで可能
Teletrack:高度60度〜70度程度(鏡筒によって異なる&リミット設定可能)
▼昼間の据え付け&セットアップ
AT-MACS:恒星に頼らないアライメントなので利用可能
Teletrack:アライメントに恒星が必要なため原則不可(自動追尾だけなら可:後述)

<テレトラック経緯台の方が勝っている項目>
▼電源
AT-MACS:入力ジャックによる電池駆動(外部電池ボックス仕様)で電源スイッチ無し
Teletrack:電池駆動(本体内蔵)と併用して12Vミニジャック(センター+)による入力可能、スルー出力用ジャックも有り、電源スイッチ有り
▼自動追尾
AT-MACS:対恒星時追尾のみ
Teletrack:対恒星時のほか、月、太陽、追尾停止の選択可
▼天体自動導入
AT-MACS:不可
Teletrack:可能(SynScanコントローラなので、PC接続も可)
▼デザイン
AT-MACS:普通
Teletrack:メタリック調でちょっとクール
▼L型アングル
AT-MACS:別途購入
Teletrack:1/4インチカメラネジ付きアングルが標準で付属
▼鏡筒(アリミゾ・アリガタ)接続
AT-MACS:一本ネジでアリガタを直接押さえつける
Teletrack:ネジでアリミゾ全体の幅が可動するためアリミゾ全体でアリガタを押さえつける

<その他共通仕様>
▼三脚との接続
三脚はどちらも付属しているが、標準の物は強度的に問題があるかもしれないと思い、載せ替えができるかという点は気になるポイントだった。
どちらも標準では3/8インチネジ(カメラ大ネジ規格)なので、大ネジ規格のカメラ三脚などにも載せ替え可能。また1/4インチカメラネジへのアダプターネジを使えば通常のカメラ三脚や、アイベルさんで販売されているアルミフレームのスーパーカメラ三脚(5,980円)などにも載せられる。

▽スーパーカメラ三脚に載せ替え


以上、簡単に長所短所とまとめたが、実際の価格差はというと、AT-MACSが純正三脚付仕様で31,000円(※発売記念価格)に対して、テレトラック経緯台(専用三脚付き)が36,330円なので、5千円程度の違い。

利用鏡筒がジェニスター66であることを考えれば積載鏡筒的にはどちらも問題ないが、テレトラックが天頂付近の観望に使えないデメリットは大きく、最後までこの点が気になった。
最終的には、AT-MACSよりはるかに高機能であったことと、双眼鏡などを付けても楽しめるL型アングルに別投資が不要だったことなどからテレトラック経緯台にすることに決した。

▽テレトラック経緯台とジェニスター66SD
テレトラック経緯台

<テレトラック経緯台の据え付け&アライメントの概要>
▼据え付け方法
・鏡筒が大体北向きになるように置き、本体付属の水準器で水平になるよう三脚調整し固定
※マニュアルでは鏡筒の向きを水平になるようにと書かれているが、実際には手で軸を回さないほうがよいので、そのままアライメントするか、後述(昼間のセットアップ)の方法で水平を出すこと。あるいは使用後に必ずParkScopeコマンドでホーム位置に戻してから電源OFFしておくと、据え付け時に水平を合わさなくてよいので便利。
▼アライメント
・電源ONし、ハンドコントローラーに必要情報(観測地経緯度・現在日時)を入力
・アライメント方法を選択(ブライテストスター、2スター)
2スターは通常の赤道儀などでもあるやり方と同じで、ブライテストスターは、最初の基準星をその時見える明るい星(名前を知らなくてよい)の方向を指示・選択するだけの違いである。ブライテストスターアライメントも結局2スターと同様のアライメントを行うことになる。どちらも、最初の基準星導入はコントローラ操作による手動導入で、2星目は自動導入(要手動センタリング)である。
据え付けからアライメントまでなら、極軸合わせが不要な分、所要時間ほんの3分といったところだろうか。

<テレトラックの天体自動導入の精度>
ジェニスター66SD(焦点距離388mm)にLVW13mmを装着することで倍率約30倍(視野直径の実視野角距離は約2°)で運用してみたが、さまざまな方向・高度の天体に向けても視野の中に入ることはもちろん、視野中心から角距離にして30"以内の精度で導入できていることは確認した。

<テレトラックの純正三脚>
造りは荒っぽさを感じるが、数千円程度のカメラ三脚よりはずっと「しっかり」しているし、脚の一本には持ち手用のウレタンまで貼ってあるので意外と気が利いている。
また、ハンドコントローラーの取り付け用ベースも、この三脚に併せて用意されている。
本体もこの三脚も片手で移動できるほど軽量なので持ち運びにはよいので、ちょい見にはもってこいだ。しかし、しっかり据え付けて見たい場合は、望遠鏡用のアルミ脚に接続して使いたい気はするだろう。

<太陽観測向け?昼間のセッティング方法>
テレトラックは太陽追尾が可能なので、セッティングさえできれば今年の大イベントである皆既日食や黒点観測などにも使える。
マニュアルどおりのセッティングを行う場合は、先述のとおり恒星によるアライメントが必要となるが、自動導入をしない追尾のみをさせるのであれば、次の方法で利用可能だ。

・据え付けをマニュアル(鏡筒の水平はここではどうでもよい)どおり行う。
・昼間なので、北極星に頼らず方位磁石などを使い、次のとおり北向き、水平の調整をできるだけ正確に行う。
鏡筒を北向き・水平にする場合に、無理矢理手で軸を動かすと破損する危険性があるので、まずハンドコントローラーを適当な情報入力で電源を入れ、アライメントせずに、動作Rateを設定・確認して方向キーで水平、北向きを調整し、済んだらいったん電源を切る。
・再度電源投入し、今度は正確な情報をハンドコントローラーに入力し、最後に聞いてくるアライメントは行わない。
・この状態では追尾停止となっているので、ハンドコントローラーのメニューにて、Setup Mode>Trackingを選び、追尾モードを選択する。

以上で、昼間の自動追尾状態のセットアップは完了です。
なお、アライメントをしていないので正確な自動導入はできませんが、一応自動導入は機能するので、昼間の明るい惑星や1等星などは自動導入+目視探索で導入できるかもしれません。太陽は自動導入対象天体ではないので、ご自分で注意して導入・観測しましょう。

▽付属のL型アングルに小型双眼鏡を取り付け
テレトラック経緯台Lアングル

▽テレトラック本体側の入出力
テレトラック経緯台本体

<その他使用してみて>
▼テレトラック経緯台の納品直後、実際に望遠鏡を取り付けてみたときに、手が少し望遠鏡に当たっただけで、方向が上下とも簡単に動いてしまっていた。これでは、せっかくアライメントしても途中で狂ってしまったりすることもあるかと思い、クランプの代わりとなっている両軸取り付け部の大きな六角ネジを適度に締めた。これにより不測な動きは解消された。
▼長物の鏡筒の取り付けは推奨されていないが、実際にビクセン80M(長さ約1メートル)を取り付けて正常に動くかどうか試してみたところ、何の問題もなく動作した。ただし、念のためアイピースを付けた状態で前後のバランスだけは取れるようにしてセットした結果だ。この鏡筒を付けて、鏡筒がテレトラックに当たる直前まで、ハンドコントローラの示す高度数値を見ながら高度を上げてみたが、こんな長い鏡筒でも高度60度は使用範囲が確保できるようだった。
当然のことながら、80Mではその長さゆえ、鏡筒に目が当たったり、ピント操作時には視界がぐらついていた。しかしながら、これといって致命的なガタが起きることもなかったので実際に使用できそうな感覚はあった。

▽ビクセン80Mを乗せたところ(電源にSG-1000を接続)

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